お前は公子の影となりなさい―自由に生きようと決意する度に浮かびあがる母の面影。名家の長男として生まれながら、恋も将来も諦めた天才児・戒。しかし、掘建小屋に住み「舞舞い猿」と蔑まれて国中の嗤い者となったこの男が戦乱の半島で一国の危機を救う。古代の小国を舞台に、伝説の天才舞い手・戒の活躍を描いた物語。第14回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。2002年戒の墓が見つかった。この報せに帯沙半島は沸きあがった。国中で語り継がれてきた、希代の嫌われ者が実在したことに。
戒とは、紀元頃、沙南地方に生きたとされる伝説の奇人である。身体は人間なのだが、顔は真っ赤で猿そっくり。嫌なにおいを放ち、きぃきぃしゃべる猿人間。彼は猿の真似をした道化舞が異様に上手い舞舞い。
彼が踊れば誰もが笑い転げて息が出来なくなり、全財産を差し出して舞をやめるよう頼む始末。戒を捕縛しようとした官吏も笑い転げてどうしようもない。挙句の果てに、再という小国の王をその舞で誑かし、堕落させ、ついには滅亡の淵へと追いやった逆臣である。
そんな戒の遺体が納められていたのが、あまりに規模が大きく、規格外の豪華さを誇る大墳墓。そして彼の遺体の下に敷かれていた”再王”の文字が記してある護り布。
希代の嫌われ者のはずの戒が、何故ここまで手厚く葬られていたのか?
本当の彼の姿とはどのようなものだったのだろうか?
本を読む女。改訂版様で紹介されていて、何か面白そうだったので図書館で借りました。これが予想以上に大当たり。
”希代の嫌われ者”とか”猿人間”とか”国を滅亡させかけた逆臣”とか、悪い評判しか現代に残されていない戒という舞舞い。彼の本当の姿と彼が死ぬまでの生き様を描いたのが本作です。もちろん戒という人間や、この物語が繰り広げられる国なんかもすべて創作です。しかしまぁ、僕はかなりの歴史音痴なので最初の方は史実なのかな?なんて思ったりしてました(^^;;) 正直読み終わってもフィクションだと言い切る自信が無かったんですが、
本を読む女さんでもフィクションだと言ってはるんで間違いないでしょう。それだけ作者の舞台設定の描き方が上手かった、ってのは言い訳にしか聞こえないでしょうね(笑
主人公の戒はなかなか数奇な人生を送った人です。名家に生まれながらも、公子の影となって生きていくことを母親に義務付けられたため、自らの才能を隠し、地位も恋も諦めなければならなかった。それが理由で、自分の母親に屈折した愛情しか向けられないし、母の死後も母親の幻影と遺言に縛られる。自分の息子達を差し置いてでも戒に愛情を注ぐ英夫人にも、彼の本当の才能を認め、愛してくれた湖妃にも素直になれず、自分の感情を隠すしかない。普段の道化た態度と、こういった内面での葛藤が対比になっていて、戒の人物造詣の深さが際立っています。戒の周りの女性達も、とても強いし魅力的。
そして次第に舞を舞う事の楽しさを忘れていく戒。後半はかなり重いなぁ。でも、それでも最後はやっぱり舞っちゃう戒。それでこそ戒だ。最期の最後まで天晴れな散り方。本当に気持ちの良い主人公です!めちゃくちゃ胸を熱くさせてくれる物語でした!
この作者の違う作品も読みたい!と思ったんですけど、どうやらこれ一冊だけであとは全然書いてないようです。惜しいなぁ…。
読みたい方は、おそらく書店で見つけることは出来ないので図書館へどうぞ。
勝手に評価:
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今回は
トラバ成功しました〜♪ わーい。
おんもらきさんの記事に惹かれて、私も図書館で借りてきましたよー!
いやー、面白かったです。
記事中、リンクさせていただきました。
ほんと、これ、一冊だけなんてもったいないですよね。
お若いのだし、また書いてほしいです。
| つな | 2007/10/18 23:14 | URL | ≫ EDIT