2008年07月18日
覘き小平次 / 京極夏彦
![]() | 覘き小平次 (角川文庫 き 26-12 怪BOOKS) (2008/06/25) 京極 夏彦 商品詳細を見る |
幽霊役者の木幡小平次、女房お塚、そして二人の周りでうごめく者たちの、愛憎、欲望、悲嘆、執着……人間たちの哀しい愛の華が咲き誇る、これぞ文芸の極み。
「嗤う伊右衛門」に続いて古典を京極夏彦がアレンジしたシリーズ第二作。「嗤う〜」では有名な怪談「四谷怪談」を新たにリメイクしたものでした。今回の「覗き小平次」は山東京伝作の読本「復讐奇談安積沼」を原作に書いたものらしいです。恥ずかしい話なんですが、僕はこの話の存在自体はじめて知りまして…。
さて、この小平次とはいったいどのような人物なのか?”小幡(とてもまずくて使えない魚。転じて大根役者のことらしい)”小平次と呼ばれるくらい、大変演技が下手糞な旅役者。家にいるときも、押入れの中に閉じこもり、ふすまの隙間から外を見てぼんやりしながらすごすというとんでもない変わり者。口もほとんど利かず、お塚という妻がいるが、とても夫婦生活をまともに営んでいるとはいえない状態。
もうなんか演技はまずいし、暗いし、使えないし、ちょっと変態チックだしで最悪なイメージの小平次さん。そんな彼の、他の誰にも負けない役柄が”幽霊役”である。ただそこにいるだけ。本当に小平次事態は演技も何もしていないのに、まるで本当の死人・死霊であるかのように見せてしまう。その才を買われ、ある巡業に出向くことになる小平次。が、実は裏である仕掛けが仕組まれており…。
「嗤う〜」には若き日の又市が登場しました。あの話は時系列でいうと「前巷説百物語」と「巷説百物語」の間の話かな?御行になりたての又市が奔走するというお話でした。そして今回登場するのは治平。ある事件をきっかけに盗賊から足を洗ったところを又市にスカウトされ、今回の仕掛けに参加することになったみたいですね。空っぽの小平次に会うことで、治平自身も禊ぎをし、少し楽になったようです。
とはいっても飽くまで治平は脇役。小平次を中心とする複雑な人間関係が織り成す欲望と陰謀のアンサンブル。話は思わぬ方向へと進んでいき、なんともやるせない結末へとなだれ込む。
「嗤う〜」でのお岩とお塚と伊右衛門の関係もなかなか複雑なものがありましたが。小平次とお塚の関係もなかなか理解しがたい。なんせお塚は小平次のことが大嫌いなんですから。しかし、たとえそれが嫌うということでも、そこに大きな感情が生まれるから離れられないのでしょうかね。う〜ん…難しい。
勝手に評価:
(3.4点) / (5.0点満点中)
関連タグ:京極夏彦
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| 国内作家か行 京極夏彦
| 21時24分
| comments:2 | trackbacks:1




はじめまして、こんばんわ。
TBさせていただきました。
そうそう、お塚は小平次が大嫌いなんですよね。けど無関心ではないということでしょうか。複雑ですね;
| romi | 2008/07/19 01:17 | URL | ≫ EDIT